健康コラム 2025.09.10
【むくみで太る!?】つらいむくみの原因と改善方法
仕事から帰宅すると脚に靴下の痕が残っていたり、朝起きて顔がパンパンになっていたり、ひどい方では痛みを伴うなどむくみに悩んでいる方は多くいらっしゃいます。また、自分の脚がむくんでいるとは気付かずに過ごしていたけれど、実はむくんでいてそれがダイエットの妨げになっているなんてこともあります。
むくみのせいで太って見える、顔が大きく見えるということも多く、それはとてももったいないことです。むくみは脂肪のように落とすのに長期間かかるものではなく、ちょっとした工夫で改善することができるものです。
まずは自分のむくみの原因や改善方法を知り、健康で美しい体系を維持できるようにしていきましょう。
≪目次≫
むくみの原因6選
塩分の過剰摂取
むくみの原因として特に多いのが“塩分の摂りすぎ”です。
私たちの身体は常に体液の濃度を一定に保つよう調整されていますが、塩分の摂取量が増えると体内の塩分濃度が高くなります。すると身体は正常な体液の濃度に保つため、水分を溜め込もうとします。こうして溜め込まれた水分が行き場を失い、老廃物とともに細胞間に溜まることでむくみが生じます。
特に日本では海外に比べても平均的な塩分の摂取量が多く、摂りすぎているという自覚がなくても摂りすぎているケースが多くあります。日本の基準では現状の摂取量が多いために、実現できるラインとして、1日の食塩摂取量を女性6.5g、男性7.5g未満と設定していますが、世界基準ではWHOが5.0gを基準として設定しています。
特に外食の多い方や毎日のようにコンビニ食をしている方は塩分を摂りすぎている可能性が高いため、減らすことでむくみの改善が期待出来ます。
リンパや静脈の詰まり
老廃物の通り道であるリンパや静脈の詰まりは、むくみの原因としてよく知られています。
私たちが代謝を行い体内に生じた老廃物は、約90%が静脈、残り約10%はリンパ管を通り、最終的にそのほとんどが腎臓に運ばれて尿として排泄されます。尿以外にも、表皮の毛細血管から汗腺を通して汗として分泌されることによっても排泄されます。
こうした老廃物の通り道であるリンパや静脈が詰まってしまうと、リンパや静脈はストローをつまんだような状態になるため、その中を流れる老廃物や水分は流れにくくなり、排泄できずにむくみとして溜まっていきます。
リンパや静脈は流れが弱いため、入浴やマッサージなどで意識的に流さないと流れにくいという特徴があります。また、一か所が詰まると交通渋滞のように広がっていってしまい悪循環に陥りやすいため悪化する前にケアすることがおすすめです。
筋肉不足・運動不足
筋肉不足や運動不足によって起こるむくみは主に脚のむくみで、女性に多く見受けられます。
血液の循環は心臓を中心に全身を巡っていますが、重力が働くことで水分は足元に溜まりやすくなります。本来はそれをしっかりと上に戻せるようにふくらはぎの筋肉のポンプ作用が働きますが、ふくらはぎの筋肉が少ない場合や活動がない場合はポンプとしての機能が使えずにどんどん下に溜まっていってしまいます。また、筋肉があっても凝り固まってしまっている場合も筋肉のポンプ作用がうまく働かなくなってしまうため水分が脚に停滞しやすくなります。
アルコールの摂取
お酒を飲んだ翌日はむくむというのは感じたことのある方が多いでしょう。これにはおつまみの塩分も関連していますが、アルコール自体にもむくみを引き起こす作用があります。
アルコールを摂取すると身体はそれを薄めるために水分を溜め込みやすくなります。そして溜め込んだ水分や老廃物に静脈やリンパの処理が追いつかずむくみになります。
夜に飲んで、朝起きると顔がむくむのは、横になることで水分が顔に溜まりやすくなるためです。特に寝ている間はアルコールの代謝が遅くなるため、長時間溜め込みやすくなります。
ホルモンバランスの乱れ
減塩やマッサージなど、むくまないよう気を付けていてもむくむという場合は、ホルモンの働きによって水分を溜め込みやすくなっている可能性があります。
ホルモンバランスによってむくむ、主な例としてあるのが、女性ホルモンであるプロゲステロン(黄体ホルモン)です。女性は生理前にプロゲステロンの分泌が高まり、水分を溜め込もうとするためむくみやすくなります。また、睡眠不足やストレスなどによってもホルモンバランスの乱れを引き起こし、むくみやすくなる場合があります。
栄養失調
栄養失調のうちたんぱく質の不足はむくみを引き起こします。血液中の主要なたんぱく質であるアルブミンには、水分を吸着し血管内に溜め込む働きがあり、たんぱく質が不足すると水分を血管内に抱え込めなくなるためです。血管内に溜め込めなくなった水分は細胞間に逃げ出しむくみになります。
現代の標準的な日本人の食事ではむくみにつながるほどのたんぱく質不足になることはあまりありませんが、肉や魚を食べないという方や偏食のある方ではこうした原因も考えられます。また、直接的な原因にはなっていなくても、たんぱく質不足は筋肉が分解される原因にもなるため、筋肉不足によるむくみも懸念されます。
むくみの程度がひどい場合には、生活習慣や体質ではなく病気や薬の副作用、妊娠などが関与している可能性もあります。水分代謝は腎臓や肝臓、心臓、甲状腺、静脈など様々な臓器や組織との関連があるため、気になる場合には早めに医療機関を受診するようにしましょう。
むくみの改善方法〈食事編〉
塩分を控える
塩分の摂取量が過剰になっている場合は、塩分の摂取量を減らすのがまず一番の対策です。1日の塩分摂取量の目安は、日本人の食事摂取基準(2020年版)において実施可能性を考慮して男性7.5g/日、女性6.5g/日が目標量として定められています。世界保健機関(WHO)では5g/日が基準として定められていますが、日本では世界と比較してやや高めの設定となっています。
意外に思われる方もいるかもしれませんが、日本人の食塩摂取量は世界的に見てかなり多いです。これには日本人の食文化である漬物や味噌汁、煮物など日本を代表する和食の塩分が多いということも強く関連しています。近年の調査でも日本人の塩分の平均摂取量は約9~12g/日と、目標の1.5倍程度摂っているというのが現状のようです。
このため摂りすぎているという自覚がなく、普通だと思っている量が実は過剰摂取になっているということも多いです。熱中症などでは塩分が必要と言われるため何となくのイメージで塩分も必要と考えられる方もいますが、普段の生活で減塩したからといって塩分が不足することはまずありません。運動時や炎天下など発汗量多いときなどは適度に補う必要がありますが、日常的には摂りすぎに注意したほうが良いのです。
具体的な減塩方法は様々ありますので、出来ることはすべて意識することでむくみの改善が期待できます。
【減塩方法:自炊編】
- 主菜だけしっかり味をつけ副菜は薄味に
- 酸味や辛味、香り、だしを利用する
- 薬味を利用する
- 旬の食材や新鮮な食材を使う
【減塩方法:外食・中食編】
- ラーメンなどの汁は飲まない
- 付属のドレッシングやソース・しょうゆは全部かけず必要なだけつける
- 汁物や麺類は1日1食まで
- 減塩になっている食品を選ぶ
塩分の排泄を促す
むくみを改善するために、まずは塩分の摂取を減らす努力をするというのが効果的ですが、並行して意識したいのが塩分・水分の排泄です。塩分の排泄に必要な栄養素はカリウムと食物繊維、そして水です。
【水】
水を飲むとむくむと思われる方もいますが、実はその逆です。確かに普段から水分をしっかり摂るという習慣がない方がいきなり大量の水を飲んでも、その水を使ったり排泄したりする習慣がなく、身体が必要なものと勘違いして溜め込むため、むくむことがあります。しかし徐々に体が慣れてくると排泄する習慣が身に付き、溜め込まないように変化していきます。
逆に水をあまり摂らずに体内の水分が不足すると、血液やリンパを流れる老廃物も流れられなくなってしまうため、溜め込み体質になり、むくみにつながってしまいます。身体は老廃物の排泄や代謝をするのにも水分を使うため、1日に必要な水分量は1日約2Lと算出されています。のどが渇いていなくてもこまめに水分を摂る習慣をつけましょう。
【カリウム】
カリウムは体内でナトリウム(≒塩分)と拮抗して働くミネラルです。カリウムを摂取することで体内の塩分や過剰な水分を排泄するよう働きかけるため、むくみの軽減や高血圧の改善につながります。特に排泄に関わる腎臓の働きは夜間に高まるとされていますので、夜に摂ることでその働きを十分に活かすことができます。
カリウムの摂取目標量は男性で3000㎎、女性で2600㎎ですが食品だけで満たすのには、かなり意識が必要です。実際に日本人の平均的なカリウムの摂取量はこの目標量にやや満たない程度であり、ダイエット中などであれば食事量を抑える中でさらに少なくなってしまっている可能性が高いため積極的な摂取が必要です。
カリウムを摂るのにおすすめの食品は、アボカド、納豆、枝豆、さといも、ひじき、ほうれん草、モロヘイヤなどです。これらの食品を摂るために食塩摂取量が通常より増えてしまっては元も子もないですので注意しましょう。またカリウムは水に溶けやすくゆでるなどの調理では溶出してしまうため、断面を少なくしたり、茹で時間を短くしたりなど調理の際は工夫が必要です。自炊ができない日など食事からとるのが難しい場合はサプリを活用するというのも一つの方法です。
【食物繊維】
食物繊維には水に溶けやすい水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維があります。中でも塩分の排泄により効果的なのは水溶性食物繊維です。水溶性食物繊維は水分を吸収しドロドロした状態になることで、余分な塩分を吸着し排泄を促します。
水溶性食物繊維が豊富な食品は海藻類やネバネバの食品です。わかめ、昆布、ひじき、もずく、めかぶ、なめこ、オクラ、モロヘイヤ、納豆、山芋、こんにゃく、アボカドなどに特に多く含まれます。また、その他の野菜類全般や大麦などにも含まれます。
たんぱく質の適正摂取
通常の食事ではむくみに繋がるほどたんぱく質が不足することはあまりないですが、肉や魚を食べない方、極度の偏食やダイエットのために過度な食事制限をしている場合にはたんぱく質が不足することがあります。
ダイエット時でも、特にたんぱく質はある程度しっかりと摂らなければなりません。少なくても1日50g程度は摂るようにしましょう。また、どうしても食べられないという場合にはプロテインなども活用し必要な量は摂るようにしましょう。
むくみの改善方法〈運動編〉
ふくらはぎの筋トレ
ふくらはぎの筋力が弱いと、筋肉のポンプ作用が働かず脚がむくみやすくなります。また、むくみだけでなくそこから冷えやセルライトの原因にもなります。
ふくらはぎの筋トレにはシンプルなかかとの上下運動がおすすめです。両足を肩幅程度に広げたら、かかとを1秒上げてゆっくりと下げるだけ!これを始めは20回を1~3セット程度から始めてみましょう。ドライヤー中やテレビを見ながらなど、すき間時間で行える方法です。
単純な動きですが、普段運動をしない筋力のない方では、これだけでもも裏やヒップまで効くほどしっかりと運動できます。ふくらはぎのヒラメ筋や腓腹筋は毎日鍛えても回復できる筋肉ですので、毎日コツコツ行いましょう。
ストレッチ
ストレッチはポンプ作用を発揮する、使える筋肉を維持するために重要です。特に力を入れなくても筋肉が硬く張っているような方は、たとえ筋肉量が多くても使いこなせていない可能性があります。ストレッチによって筋肉の可動域を広げ、血行の改善をすることでポンプとして働けるようにしていきましょう。
様々な動きで角度を変えながら伸ばすことで柔軟な筋肉を作りやすくなります。
むくみの改善方法〈その他〉
マッサージ
マッサージは血行やリンパの流れを改善するのに効果的です。血管やリンパが詰まっていると、老廃物の排泄がスムーズにできず蓄積していってしまいます。排水溝のお掃除感覚で老廃物がしっかりと流れる状態をつくりましょう。
【脚のリンパマッサージの方法】
しっかりと流すためには素肌の上から行うのがおすすめですが、服の上からでもOKです。素肌に行う場合はクリームやオイルなどで滑りを良くして行いましょう。入浴時に身体を洗うついでに行うのもおすすめです。各工程、30秒~1分ずつが目安ですが、痛みがある場合は痛みがなくなるところまで丁寧にできるとより効果を期待できます。
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①下半身リンパのターミナルである鼠径部をほぐす。
鼠経リンパ節をほぐします。親指で押しながら少し前屈し、グッと入れこむようなイメージで行うと奥の方までほぐしやすくなります。寝転がって脚を伸ばし、グーでゴリゴリしてもOKです。むやみに強い力でやってしまうと炎症してしまうため、リンパ組織を傷つけないよう優しくするようにしましょう。 -
②太ももの脂肪や筋肉を縦に大きくつまんでほぐす。
膝側から太ももの付け根の方向に向かって全体的にほぐしていく工程を繰り返します。 -
③「①」で解したごみ箱に向かって流す。
1点だけでなく、内側・外側・真ん中など全体的に流します。気になるところや痛み・くすぐたさがあるところは重点的に行うようにしましょう。 - ④満遍なく下から上に向かい、こぶしで軽く脚全体をトントンと叩いて流します。
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⑤膝裏のリンパ節をほぐす。
膝裏のリンパ節はやや奥にはいっていますので、少し掘るように押します。ポイントが分からない方は膝裏周辺の膨らんでいるところや痛みがある所が詰まっているポイントです。 - ⑥ふくらはぎの筋肉を挟むようにしてほぐす。
- ⑦前脛骨筋(脛の外側の筋肉)を下から上にほぐしながら流す。
- ⑧ふくらはぎ全体を足首から⑤で解したごみ箱に向かって流す。
- ⑨足首やアキレス腱周りをほぐす。
- ⑩脚の指の骨間を流す。
- ⑪つま先から鼠径部に向かって足全体を下から上に流す。
まずは脚からですが、血管やリンパは全身繋がっているためつまりが強い場合は全身が交通渋滞のように詰まってしまっている可能性があります。背中などどうしても自分では流せない箇所もありますので、定期的に全身をプロに流してもらうのが理想です。
また、ストレッチと併用して行うことでより高い効果を期待できます。ストレッチは筋肉をほぐしたり関節の滞りを軽減したりすることで血行やリンパの流れを促します。さらにマッサージでしっかりと流すことでより高いスッキリ感を実感できます。時間が作れる場合は、ストレッチ→マッサージ→ストレッチの順で行うのがおすすめです。
入浴
入浴は温まることによる血液循環の促進や水圧による血行やリンパの流れの改善効果、浮力によるリラックス効果が合わさり、筋肉の緊張を和らげる効果も期待できます。また、汗をかくことで1日のむくみを溜め込まず、その日のうちにすっきりとさせることができます。
普段から入浴は全くしないという方もいますが、むくみが気になるという方は休日だけでも湯船に浸かる習慣を作るのがおすすめです。38~41℃のお湯に20分以上浸かると、リラックスしながら血行を促すことができます。湯船に浸かれない日には桶に熱めのお湯を張り、足湯をしながら洗うと足元の血流を促すことができます。
睡眠
むくみに睡眠不足が関係するのは意外に思われると思います。むくみとの関連は、睡眠不足が血行不良を招くことが関係しています。血行不良では老廃物を排泄できず水分とともに溜め込んでしまうため、むくみに繋がります。
そのほか疲労物質の蓄積や自律神経の乱れなども関係しています。忙しかったり他にやりたいことがあったり、何となく二の次になりがちな睡眠ですが、1日6~8時間程度は寝るのが理想的です。難しい場合は1日15~30分でも長く寝られるように頑張ってみましょう。
まとめ
むくみには様々な原因と改善方法があります。まず心当たりのある原因からその改善方法を試してみましょう。むくみは辛いだけでなく、老廃物が蓄積することによるセルライトの形成や体温の低下、それに伴う代謝の低下などにつながります。むくまないような生活習慣を心掛け、むくんでしまったらその日のうちに排泄し、健康的な美ボディを目指しましょう。
