美容コラム 2025.04.30
【乾燥対策!】揺らがない“うるおい美肌”を手に入れる方法

“肌の乾燥”これは、お客様からも多くいただくお悩みの一つです。
肌が乾燥しているとヒリついたり、思うようにメイクができなかったり、気分も落ち込んでしまいます。
1年の中で最も乾燥する印象があるのはやはり冬場ですが、夏場でもエアコンや扇風機などにより室内では乾燥が気になったり、春先や秋口も季節の変わり目による寒暖差や花粉などによる揺らぎで乾燥を引き起こしたりと、実は1年中悩まされているという人も多いです。
空気が乾燥しやすいのは冬場ですが、肌が乾燥する原因は空気の乾燥だけではありません。肌が乾燥する原因を知り、身体の内側からと外側からの適切なケアで乾燥に悩まされない強く健やかな肌を手に入れましょう。
≪目次≫
どうして肌が乾燥するのか?

肌が乾燥する原因は様々ありますが、最も決定的な原因は肌のバリア機能の低下です。バリア機能とは肌の外部からの異物の侵入を防ぐとともに、肌内部の水分を閉じ込め蒸発を防ぐ仕組みのことを指します。
私たちの皮膚は、表面から順に表皮、真皮、皮下組織の順に並んでおり、表皮はさらに、角質層、顆粒層、有棘層、基底層に分かれています。乾燥から肌を守るバリア機能が働くのはこのうち表皮の最も表面の層である角質層です。
表皮の働きの中で重要なのがターンオーバーという働きです。ターンオーバーとは、基底層で作られた細胞が徐々に上の層へと移動していき、角質層の表面で垢となって剥がれ落ちるまでの過程を言います。正常なターンオーバーは約28日が目安とされ、ターンオーバーが正常に保たれることでバリア機能も正常に働き、健やかなでみずみずしい肌状態を作っています。

肌を乾燥から守るためのバリア機能の核を担う角質層は、角質細胞という死んだ細胞の周りを細胞間脂質と呼ばれるセラミドや脂肪酸などの成分と天然保湿因子(NMF)と呼ばれる水溶性の成分が規則的な構造を組みながら満たしています。この規則的な構造はラメラ構造と呼ばれ、何層にも重なるラメラ構造が電気的な膜を作ることで水分の蒸発や異物の侵入を抑えています。
また、角質層の上には皮脂と汗から構成される皮脂膜が覆っており、さらに角質層からの水分の蒸発を防いでいます。このように人の肌にはもともと乾燥を防ぐための機能(=バリア機能)が備わっているのです。
しかし何らかの原因によって肌本来のバリア機能が保てなくなると、しだいに水分が蒸発していき乾燥肌の状態になってしまいます。
乾燥して肌のバリア機能が低下することでさらなる乾燥を招き、悪循環に陥ってしまうのです。

肌のバリア機能が崩壊する原因8選

1.洗いすぎ
日々行うクレンジングや洗顔などは本来、顔に残った不要な汚れを取り除くために行います。
しかし、汚れを取ろうとしすぎると、強い洗浄成分が肌に必要な皮脂まで取り除いてしまったり、こすって摩擦刺激を与えてしまったりと肌にダメージを与えてしまいます。メイクの濃さや肌質に対して必要以上にクレンジング力や洗浄力の高い成分を使用してしまうことで、必要以上に皮脂を取り除いてしまい乾燥してしまうのです。
反対に、メイクや肌質に対して洗浄力が弱すぎるとこすって摩擦によって落とそうとしてしまうため、必要な角質細胞を取り除いてしまい、肌に強いダメージを与えてしまいます。メイクの洗い残しがあると、それが肌への刺激となってしまうこともあります。
クレンジングや洗顔後、入浴後などにツッパリ感を感じる場合は洗いすぎのサインですので改善が必要です。
また身体も同様に、洗浄力の高いボディソープの使用や長時間かけて洗いすぎることは乾燥の原因になります。
2.空気の乾燥
“冬は乾燥する”といいますが、これは気温が低下すると大気中に抱え込める水蒸気の量が減少するために起こります。夏場でもエアコンを使用した空間では同様に空気が乾燥するため注意が必要です。
また、蒸し暑い夏に使用する“除湿”などの機能はさらなる乾燥を招くこともあります。空気が乾燥していると肌の水分も奪われやすくなるため、こまめに保湿をしていないと肌が乾燥してしまいます。
3.紫外線ダメージ
太陽光に含まれる紫外線は、肌の老化の約80%を占めると言われるほど肌に対して強いダメージを与えるものとして知られています。日焼けやシミのイメージが強いと思いますが、肌トラブルすべてに関係しています。これは紫外線に肌のターンオーバーを乱す働きがあるためです。
紫外線は肌に透過すると活性酸素を生みだして細胞を傷つけ、ターンオーバーを乱します。正常に肌が生まれ変われないことで角質が剥がれすぎてしまったり、反対に何層にも積み重なって肌がごわつき、化粧品成分が入りにくくなったりするため、バリア機能が崩壊する大きな原因になります。
4.水分の摂取不足
成人の身体の約60%は水で出来ており、そのうち約15~20%が肌に蓄えられていると言われています。肌の保湿は化粧水など外からの補給も大切ですが、内側から不足させないようにすることも大切です。
肌は繊細でありながら生命力は強い組織で、水分が少なくなっても肌細胞は生きていけると言われています。このため、体中の水分が不足すると肌の水分を奪って代謝活動などの生命維持に利用されます。肌は体水分の不足によって乾燥しやすいのです。
また、水分が不足すると血液がドロドロになり血行が悪くなるため栄養素が行き届かず肌のターンオーバーが乱れることにも繋がります。たくさん飲めば飲んだだけ潤うというわけではありませんが、とにかく不足させないことが大切です。
5.栄養バランスの悪い食生活
私たちの身体は食べたもので出来ています。例えば、たんぱく質は肌の細胞や筋肉はもちろん、血管やホルモン、免疫細胞などあらゆるものの材料となっています。たんぱく質の不足は肌のターンオーバーを遅らせバリア機能を低下させる原因になります。
また、美容において嫌われがちな脂質も摂らなすぎると皮脂が分泌できずに乾燥してしまいます。他にも野菜には肌の健康に欠かせないビタミンやミネラルが豊富で、肌と密接な関係がある“腸内環境”の改善に働く食物繊維も豊富に含まれます。
食品や栄養素にはそれぞれに必要な様々な働きがあるため、健やかな肌のためにはどの栄養素も過不足なく摂ることが大切です。
6.睡眠不足
美肌作りにおいて睡眠の重要性はよく知られていると思います。最近では人気の某保湿クリームに3時間多く寝たような肌へといったコピーが添えられるほど、とても重要なものです。しかし分かってはいても優先順位が下がっている方も多く、特に日本人の睡眠はかなり短く不足していることが知られています。
睡眠不足が続くと、睡眠時に分泌される成長ホルモンの分泌が不十分になるため肌に様々なトラブルを引き起こします。成長ホルモンには、細胞の分裂や再生を促す働きや肌の水分量を保つ働きがあるため、その分泌量が減少することでターンオーバーが乱れ、肌も乾燥しバリア機能の崩壊に繋がってしまうのです。
また、睡眠時間は長く確保していても睡眠の質が悪いと成長ホルモンが十分に分泌できていない可能性があります。
7.加齢
表皮の天然保湿因子(NMF)や細胞間脂質、皮脂などの肌にもともと存在する保湿に関与している成分は加齢に伴い減少していくことが分かっています。身体全体の水分も若い成人より5~10%程度低下し、肌自体の水分量も減少することが分かっています。
肌の水分が減少することでバリア機能が崩れ、更なる乾燥を引き起こすという特徴があります。年齢によって肌質も徐々に変化していくため、その時の状態に合わせたスキンケアが重要です。
8.先天的な肌質
人の肌質には元々個人差があり、生まれつき皮膚の薄い方や皮脂の分泌量の少ない方などは肌が乾燥しやすいと考えられます。肌への刺激を感じやすい敏感肌の方やアトピーのある方もバリア機能が弱く乾燥もしやすくなります。
また、性別によっても女性は皮脂の分泌量が比較的少なめであり、男性は皮脂の分泌量は多いものの水分量は少ないなどの違いもあります。バリア機能を正常に保つために、肌に合わないものは使用しないようにし、こまめに保湿することが大切です。
今日からできる!?乾燥対策4選:スキンケア編

1.クレンジングや洗顔料を変えてみる
洗浄力は高すぎても低すぎても刺激になりやすくなります。そして必要な洗浄力は人によって様々です。誰かのおすすめであっても、メイクの濃さや肌質が違えば自分には合わないという可能性も高いです。
優しく洗っているにもかかわらず洗い上がりにツッパリ感があるという方は、クレンジングや洗顔料、ボディソープなどの洗浄力が高すぎるか、洗うのに長時間かけすぎと考えられます。乾燥の気になる方は、天然保湿因子(NMF)の基となるアミノ酸が配合されたものや保湿成分が配合されたものなど、低刺激で保湿力のあるものを選ぶのがおすすめです。
また、洗浄にかける時間は、クレンジングは30秒から1分程度、クレンジング後の洗顔は30秒以内程度、洗顔だけの場合は30秒程度を目安に時間をかけすぎず行うのがおすすめです。洗う際は汚れと優しくなじませる程度で行い、こするなどの刺激は一切与えないようにしましょう。
また、朝洗顔は必ずしも洗顔料で洗う必要はありません。乾燥している場合はぬるま湯で流す程度でも寝ている間についたほこりや汚れは十分に流すことができます。
2.お湯の温度をぬるくする
乾燥を防ぐお湯の温度は36~38℃程度が目安とされています。冬場は特に寒く感じるかもしれませんが、洗顔時のお湯の温度だけでも38℃程度に下げるのがおすすめです。
湯船の温度も40℃以下を目安に設定し、入浴時間は20分を目安にしましょう。また、保湿系の入浴剤を使用するのもおすすめです。入浴剤に含まれる保湿成分の効果はもちろん、血行が良くなることで栄養が行き渡りやすくなりターンオーバーの改善や肌の水分量UPも期待できます。
3.肌に合う保湿ケアをする
保湿ケアもクレンジング洗顔同様、肌質に合わせて行うことが大切です。優しく洗浄をしても入浴後の肌は水分の蒸発が著しく、時間とともにどんどん乾燥は進んでいきます。このため、特に乾燥肌の方はできるだけ早く保湿をすることが大切です。
おすすめはお風呂場で化粧水やボディクリームなどの簡単な保湿は済ませてしまうことです。肌の水分を残して全身しっかりと保湿することができます。そしてここまでは応急処置のようなイメージで、乾燥が気になる方はそのあとしっかりと保湿することが必要です。
顔の保湿は化粧水と乳液に分けて行うのがおすすめで、化粧水は水分の補給が目的で、乳液は水分の上から油分の膜でフタをするイメージです。乾燥肌の方や、乾燥によって日中に皮脂テカりなどが起こる方はとにかく水分の補給が大切です。化粧水は十分に使用して手の甲で肌の水分が満タンになったのを確認しましょう。
ただし、むやみにつけすぎると肌表面の皮脂が流れてしまう可能性もあるため必要なだけしっかりとつけることがポイントです。
化粧水後は乳液でフタをするのが基本ですが、べたつきの強い部位や皮脂によりニキビができやすい部位は使用しないか少なめにつける、あるいは乳液より油性成分の少ない美容液をつけるなど顔の中でも部分別のケアをするのがおすすめです。反対に乳液だけでは乾燥してしまう部位はクリームなどの油性成分の多いこっくりしたものでフタをするのと外からの乾燥をおさえることができます。
また、週に1,2回などスペシャルケアでパックをするのもおすすめです。パックは肌と密着させることで角質層をふやけさせ浸透を高める効果があります。長時間置きすぎると肌からパックに水分が奪われ、かえって乾燥の原因になるため使用時間は商品の表示を守って使用してください。
保湿を十分に行い、身体もボディクリームをしっかりと塗りましょう。
4.紫外線対策を徹底する
紫外線は肌で細胞を傷つける活性酸素を大量に発生させ、多くの肌トラブルを招きます。美白やシミ、シワ対策としても大切ですが、乾燥予防としても重要です。
紫外線ダメージに対してダントツで効果的なのは日焼け止めを塗ることです。紫外線ダメージを抑えるにはそもそも肌に紫外線を侵入させないことが何よりも大切です。紫外線は1年中、雨の日でも室内でも地上に届いています。SPFやPA値の高いものが推奨されるのは真夏の炎天下くらいですが、そうでない日もマイルドなもので紫外線を防ぐことは大切です。
また、紫外線以外に可視光線の中で最も紫外線と周波数の近いブルーライトも肌への影響が懸念されています。現代ではスマホやパソコン、テレビ、ゲーム機などブルーライトを発するものに触れない日はないと思います。
ブルーライトを浴びる機会が多い方は特に、ブルーライトカットのフィルムの使用や、ナイトモードなどを使用してブルーライトの量を減らすことがおすすめです。
今日からできる!?乾燥対策4選:生活習慣編

1.美肌に良いものを食べる
私たちの肌は食べたもので出来ています。このため肌は食事内容の影響を受けやすく、栄養バランスの偏った食事は肌トラブルの原因となります。
どの栄養素もバランスよくというのが大前提ですが、肌の健康を保つために特に重要で不足しやすい栄養素は、たんぱく質、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB2、ビタミンB6、鉄、亜鉛、オメガ3(n-3系脂肪酸)です。それぞれ多く含む食品は以下の通りです。
栄養素 | 効果・多く含む食品 |
---|---|
たんぱく質 |
肌細胞や免疫細胞、血球、血管、ホルモンなどの原料となる。 例)肉、魚、卵、乳製品、大豆製品 |
ビタミンA |
ターンオーバーを整える。活性酸素から肌を守る。 例)レバー、あさり、にんじん、ほうれん草、かぼちゃ、パプリカ |
ビタミンC |
肌の皮脂や水分のバランスを整える。活性酸素から肌を守る。 例)赤ピーマン、ブロッコリー、カリフラワー、じゃがいも、イチゴ、キウイ |
ビタミンE |
活性酸素から肌を守る。 例)アーモンド、かぼちゃ、モロヘイヤ、ツナ缶(オイル) |
ビタミンB2 |
肌の再生や新生をサポートする。 例)卵、アーモンド、チーズ |
ビタミンB6 |
肌の再生や新生をサポートする。 例)鶏ささみ、鮭、ゴマ、ニンニク |
鉄 |
赤血球の成分となって酸素や栄養の運搬に働き、ターンオーバーを正常に保つ 例)レバー、あさり、シジミ、小松菜 |
亜鉛 |
肌の再生や新生をサポートする。 例)牡蠣、レバー、牛肉、タラバガニ、チーズ(※比較的どの動物性食品にも多い) |
オメガ3 |
脂肪酸の一種で、血液をサラサラにすることでターンオーバーの維持に関わる。 例)青魚(サバ、サンマ、イワシ、マグロ、アジなど) |
これらを参考にバランスよく食事を摂るようにしましょう。ダイエットなどで無理な食事制限をしているとさらにご飯などの摂取量も減り、食事からこれらの栄養素に加えセラミドなどの保湿成分も摂れなくなってしまうため要注意です。
一方で、糖質の摂りすぎは肌の糖化を引き起こしごわつきなどの原因にもなるほか、インスタント食品やお弁当の揚げ物など過酸化脂質や添加物の多いものは肌ダメージを助長するため控えるようにしましょう。
2.こまめにしっかり水分をとる
水分は1日2Lを目安にこまめに摂ることが大切です。きちんとバランスの良い食事を摂っていれば、食事から500mlくらいは水分を摂ることができるので、飲む量としては1.5Lくらいが目安になります。
飲むのは白湯や常温の水がおすすめですが、冷たくないとの飲めないという方はできるだけ冷たすぎないものを選ぶように心がけましょう。水が苦手な方は、ノンカフェインの麦茶やルイボスティーなどを選びましょう。カフェインには利尿作用があるため、乾燥の原因になる可能性があります。
3.質の良い睡眠をとる
睡眠時に分泌される成長ホルモンには、肌の再生を促したり肌の水分量を増やしたりする働きがあるため、健康的な肌づくりにはとても重要です。成長ホルモンは特に入眠後約3時間の最初のノンレム睡眠のタイミングで多量に分泌されると言われており、このタイミングで質の良い睡眠をとることが重要とされています。
寝る前にスマホを見たり筋トレをしたり、カフェインやアルコールを摂取したり、睡眠の質を低下させる行動をしていると、仮に睡眠時間が十分でも眠りが浅く成長ホルモンの分泌が足りなくなり肌トラブルにつながることがあります。
また、どんなに質のいい睡眠でも睡眠時間が不足すると自律神経が乱れ、その結果ホルモンバランスの乱れにも繋がるため、時間も十分に確保することが理想です。適正睡眠時間は一般的に6~8時間程度ですが個人差があるため、すっきり目覚められて日中に眠くならない程度の時間しっかりと眠ることを心がけましょう。
4.部屋の湿度を上げる
乾燥が強い時は部屋自体を乾燥させないことも大切です。特に冬場のもともと乾燥した状態に暖房をつけると空気中の相対湿度が低下し乾燥を感じやすくなると言われているため、同時に加湿もするのがおすすめです。
部屋の乾燥を防ぐ方法は様々ありますが効果的なのは加湿器をつけることです。電力を使用したくない場合は濡れた洗濯物を干したり、水やお湯を容器に入れて置いたりという方法もあります。入浴後に風呂場のドアを開けておくというのもおすすめです。職場などでは卓上加湿器でも自分の身の回りの加湿程度であれば十分に行えます。製品によって加湿能力が異なりますので自分の用途に合わせて選びましょう。
また、夏場も必要以上のエアコンの使用や除湿は乾燥の原因になるため注意しましょう。
まとめ
乾燥対策にはスキンケアでの保湿以外にも肌の土台を整える様々な方法があります。乾燥は化粧ノリが悪くなるなどの直接的な問題だけでなく、ニキビや肌荒れ、しわなど様々な肌トラブルの原因になります。スキンケアの改善だけでなく生活習慣全体で揺らぎのないうるつや美肌を手に入れましょう。